第2章 DAY 1
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ガチャガチャと自宅の鍵を開ける。
玄関に車の鍵を放り靴を脱ぐと風呂の準備もしないままリビングに向かう。
誰もいないひやりとした部屋、ソファーにどかりと座り込むと長い長いため息を吐いた。
「あんなもん反則だろう。」
思い出すのは珈琲店の前での攻防。
集合した時から気づいていた。自分に釣り合うようにと大人びた装いにしてきたことに。
そのせいで俺の身長からだとあいつの柔らかな胸元が丸見えだってことにも。
下着がはみ出ているわけではない。
注意してしまえば俺が見ていることがわかってしまう。クソみたいな煩悩を打ち消すためにあいつらに先にファミレスに行かせて煙草を吸いに行ったがファミレスに行っても結局なずなは隣。
なずなのこんな無防備な姿を他の奴に見られたくないのもあってあいつが動かないように俺が動いた。
ファミレスを出ればあの糞餓鬼供は変な気を回して俺となずなを残してさっさと帰っていく。
流石に一人置いていかれたなずなを送らないわけにも行かないからと駐車場に向かうが…無意識だろう。
歩くたびにゆさゆさと揺れる胸が緩めの首元から見え隠れしている。
勘弁してくれと歩くペースを落とすが効果なし。
あえて見ないようにと前を歩いていれば駐車場の手前で強い力で腕を引かれた。
腕に絡みつく柔らかな感触、思わずなずなを見れば今にも泣きそうな表情と先ほどよりもよく見える谷間。
なずなの主張に渋々乗るフリをして茶店に入りなずなに珈琲を注文するように頼むと俺はそのまま便所に直行した。
盛りのついた男子中学生か、と自分でも思う。
さっき胸を押し当てられただけで反応するとかどれだけ飢えてるんだと頭を抱えた。
別にこの程度ならすぐに収まる。
暗記している六法全書の一部を頭の中で反芻させると先程までの少しだけ昂った気持ちがすうと冷えた。