第2章 DAY 1
席に戻れば俺よりも先に来たクリームオレと期間限定のケーキを先に頬張るなずな。
「獄さん、美味しい。」
そうやって笑っている顔をもっと愛でていたい。
顔が緩みそうになるのを掌で隠しそっぽを向くと相手にさっさと食べ終わらせるように伝えて自らも珈琲を飲んだ。
俺だって35歳。
女なんて金にものを言わせていくらでも抱いてきた筈だ。
でも何故かなずなにだけは余裕がない。
彼奴の前では大人、天国獄でいたいはずなのにどう足掻いても唯の男に戻ってしまう。
「どうしたもんかなぁ…」
彼奴が高校を卒業するまであと四ヶ月。
彼奴の前でいい大人で居られるのか…俺は再び深い深いため息を吐いた。