第2章 DAY 1
「獄さぁ、過保護すぎねえか?」
ニヤニヤと嫌味ったらしい笑顔で獄さんに詰め寄る空却くん。
それに舌打ちをした獄さんはわざとらしくドリンクバーを取りに向かった。
私も行こうと思ったけれど先に十四くんと空却くんが席を立ったので大人しくお留守番。
先に席に戻ってきた獄さんに声をかけようと視線を向ければ獄さんはカップを二つ持っている。
なぜだろう、不思議そうな目で見ていたことに気づいた獄さんはわたしの前にとんとカップを置いた。
中身は、お湯。
「獄さん?」
「ほら、好きなの飲め。」
自分のカップを置きポケットから何かを取り出した獄さん。
それはドリンクバー用のティーバッグで各1種類ずつ机に置かれている。
「どうせ紅茶だろう。隣から動かれるの面倒だから飲み終わったら言え。珈琲のついでに持ってきてやる。」
ふいと視線を外すのは獄さんの照れたときの癖だ。
大人だからと顔を赤らめたりはしないが顔を見られたくないようで顔を逸らすのだ。
「獄さん、ありがとう。」
お礼を言えば獄さんの大きな手が私の頭を撫でる。
嬉しくて笑えばそのタイミングで帰ってきた空却くんと十四くんに目撃されてしまいファミレスの中なのに大きな声で冷やかされしまった。
嬉しいやら恥ずかしいやらで私の顔は真っ赤。
獄さんは二人の頭に拳骨を叩き落としたのだった…