第7章 Telephone XXX
「はあっ……今、お前がいやらしい顔で俺を見上げているところを想像してる。俺の前で見せる蕩けた顔だ」
抱かれているときのことを思い出して、私も体が熱くなってきた。気がつけば私も秘部を触る手を再開させていた。ご主人様に、触れられているときのことを思って。
はあっ、となるべく聞こえないように息を漏らすけれど、きっとご主人様には聞こえてる。二人の息づかいが、電話越しに聞こえて、想像力をかきたてられる。
「今、どうしてる?」
「っ……指で、あそこを……っ」
「それを中に入れて、擦れ」
言われた通り、2本の指を中に入れて、上下に擦る。でも、全然物足りない。私の指じゃあまりに長さも太さも足りない。もっとあの手で、あれで、私を突き上げて欲しい。
なんで私はこんなことを思ってるんだろう。ふと理性を取り戻して、行為を中断しようと思うけれど、ご主人様の息づかいを聞いていると、またその理性はどこかへ消えていく。
「っはあ……俺は、やっぱりお前じゃないと満足出来ない。こんなクソみたいな仕事を早く片づけて、帰りたい」
私も、と言いそうになって口を噤む。私はおかしくなってる。
「俺がいつも弄ってる性感帯の場所は分かるか?そこを擦れ」
指を折り曲げて、入り口付近のそれを探す。自分でいじったことはないけれど、いつも触られるあの感触を頼りに、見つける。触っただけで私は達してしまった。
「ん――っ!」
「……イったのか」
私は電話では何も言えなくて、頷いた。でも、きっと隠しカメラで見られているのだろう。
「ああ、そういえば、首輪はちゃんとつけているか?」
そう問われて、ハッとした。首輪はカウンターの上に置いてある。私は今、ご主人様のペットじゃないのに、指示された通りに自慰をしている。言葉に詰まらせて黙っていると、フッという小さな笑い声が聞こえた。