第6章 碧棺左馬刻 (part3)
「おいおい、見てるだけで興奮してくる光景だな」
鼻で笑い、嘲りを含んだ左馬刻の声が、頭上から聞こえる。
これが終わったら本当に、消えていなくなろうか。辞表を出して、警察官を辞めて、どこか遠くへ逃げてしまおうか。そんな気持ちになる。
でもご主人様は、まるで私の気持ちを見透かしたかのように、耳許に口を添え、囁くように呟いた。
「でも、俺はそんないやらしいお前が好きだ。逃げるなんて、考えるなよ」
そうして、唇を奪われる。キスだって、今まで数え切れないくらいされた。逃げられない状態で与えられる一方的なキスも、いつしか舌を絡めるように躾された。長い口付けは、甘い毒になって体に回っていき、私の理性を奪っていく。
「俺はお前を愛してる」
もう、カメラは回っていなかった。髪を撫でられ、愛の言葉を囁かれ、首筋に痕をつけられる。胸の突起をゆっくりと親指の腹で弄ばれ、太ももを指先でなぞられる。
だんだん自分が自分じゃなくなっていって、欲しくないはずのソレが欲しくなっていく。
「……挿れてください、って言えるだろ?」