第6章 碧棺左馬刻 (part3)
「おい、俺をがっかりさせるな。これから、左馬刻よりも俺の方が良いってたっぷり体に教え込ませてやる」
左馬刻から解放されてぐったりとしている私を、ご主人様は斜め上から見下ろしている。眼鏡越しからのぞく冷ややかな瞳は、それだけで私の背筋を凍らせる。
「おい、俺様より良いっていう言い方は気に入らねぇな。なんなら、このままもう一発やらせてもらうが」
左馬刻の発言にご主人様は首を横に振り、ジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
「俺がやった後に、それでも彼女に体力が残ってるなら、好きなだけ試してどっちが良いか彼女に聞けば良い。……それで良いよな?」
ご主人様の有無を言わせない眼差しに、私は黙って頷く。そのやり取りを見ていた左馬刻は私から離れ、ズボンだけ脱いだ状態になってベッドの上の縁に背中を預けると、煙草に火を付けた。
「まあ、いい。しばらく俺は休憩しながら楽しませてもらうわ」
ご主人様は私に覆い被さると、舌を鎖骨から首輪、首筋、耳許までじらすようにゆっくりと這わせて行く。
「っ……」
たったそれだけなのに、たちまち体の芯が疼き出す。