第1章 <1-1>入間先輩の歪んだ劣情
「優秀なあなたでもこの状況には、さぞ混乱してるでしょう。先輩、なんでこんなことになってるんですか、って」
うん、うんと首を縦に振ると、先輩は私の顔の傍まで屈んで、顎をくいっと持ち上げた。
「それは、あなたが振り向いてくれないからですよ」
言っている意味が理解出来ない。聞き返すにも、とにかくこの拘束を解いてもらわなければ始まらない。
私は必死に体を動かし、拘束を解いてもらうように意思表示をしたけれど、先輩は立ち上がり、両眉を上げ、この状況を楽しんでいるかのように私を眺めているだけだ。
「スーツ姿で働くあなたも素敵ですが、いかにも婦人警官です、っていう格好も凄く似合ってますよ。おまけに手足は縛られ、口は自由に動かない。支配しているって気分で最高だ」
明らかにいつもの先輩とは様子が違う。今でこそ反社会的勢力とつるんで悪徳警官という噂が立っているけれど、私にとっては新人からお世話になっていた人だ。
クールだけど面倒見が良い、そんなイメージだった。
でも目の前の先輩は、何か鬱屈した感情を抱えているように見える。そして何故私がこんな風にされているのかも分からない。
「良いですか、一度しか言いませんよ」
そう言うと、先輩はもう一度私の傍に屈み、耳元に唇を寄せた。
「今からあなたを犯します」