第3章 <2>首輪のついたペット
その言葉を最後に、先輩は私に触れなくなり、何も言葉を発しなくなった。私は恥ずかしい格好をさせられたまま、放置されている。でも、反抗的な態度を取れば、ビンタされる。動くことすらままならない状態に絶望した。
ダーツボードに矢が刺さるような音、瓶をテーブルに置くような音、椅子を引く音。先輩は私をこんな状態にしておいて、自分の時間を楽しんでいるようだった。
逃げ場のない状態に、歯をぎりぎりと動かす。しかもだんだんトイレに行きたくなってきて、私は尿意とも戦わなければいけなくなった。早く終わって、と願っても、先輩は私に指一本も触れず、話しかけても来ない。
どの位時間経ったのか分からない。この体勢を維持するのも、尿意を我慢するのも限界だった。
「先輩」
私が小さく言葉を発すると、カツカツと靴音を響かせて先輩が近寄ってきた。
「先輩じゃなくて、銃兎さん、でしょう」
「……銃兎さん、私はいつまでこうしていれば良いんですか」
「さあ、私はまだまだあなたのこの格好を堪能していられますが」
先輩は私を弄んでいる。怒りの気持ちを堪えながら、頭を下げた。
「お願いします。トイレに行かせてください」
「トイレ?あなたはトイレに行きたいのですか」
こくりと頷くと先輩が耳元に唇を寄せた。
「駄目だ」