第1章 キレたネガティブ社畜は狼になる。
独歩は普段ネガティブなのに、こと恋愛に関しては嫉妬深いところがあるのだ。
いつものように散乱している雑誌類を拾って本棚に戻そうとすると、独歩が手で制止した。
「そんなことは今、しなくていい」
その瞳は怒りに満ちている。私は困惑して雑誌を床に置いた。
「なんで怒ってるの?私、何かした?」
そう言うと独歩は私の手をぐいっと引っ張って、乱暴にベッドの上に押し倒した。
「ちょっと、痛いよっ」
「しらばっくれるな。今日、昼に他の男と歩いてたの、見たんだよ」
ああ、と昼間のことを思い出した。
「あれは、私の従兄で、こっちにたまたま来る用事があったからって昼ご飯一緒に食べただけだよ」
でも独歩は首を振ると、冷たい眼差しで私を見下ろした。
「そんなの信用できない」
「本当だって。じゃあ、今度独歩も一緒にお昼ご飯どう?そしたら分かってもらえるとおも、――っ!」
私が言い終わる前に、強引に唇を奪われ、荒々しく乱暴な口付けをされる。しかも独歩はいつの間にかズボンのジッパーを下ろして、私のスカートの下に隠れているはずの太ももを露出させ、ストッキング越しにソレを擦りつけていた。
「ちょっと、やっ」
私が胸板を両手で叩いても、独歩は止めない。唇を離したかと思うと、私の首筋にかみついて、いくつも赤い痕をつけていく。
「いたいってば、やめてっ」
「やめない。お前が他の男とご飯食べてるとか、許せない」