第1章 恋人
「僕がこんなに近くにいるのに考え事ですか」
安室はカホの唇を指でつーっとなぞった。
カホの体がビクッと跳ねた。カホの視線が安室と交わる。
「さっきまで強気だったのに、こんなに大人しくなっちゃいましたね…」
安室はふふ、っと笑ってカホに口付けた。
「…んっ、!…んんっ」
さっきのような軽い口付けではなく、ねっとりと深い口付け。
安室の舌がカホの口内を暴れ回った。くちゅ、っと部屋に響く音が何とも羞恥心を感じさせた。
「んっ…はぁ…あっ」
「その顔、すごくそそられますね…」
安室の熱を帯びた瞳にカホは心臓がドクンと高鳴るのを感じた。
再び始まる熱い口付け。安室の舌先がカホの歯列をゆっくりとなぞった。つつつっと歯茎に舌が当たる。
「んあっ…!…はぁっ…んんっ…」
「ここ、弱いですよね」
安室はカホの弱いところを重点的に攻めた。何度も歯列を往復した。その度にカホは体を震わせた。
舌を吸って唾液たっぷりの口の中でお互いの舌を絡めさせた。カホの口の端からつーっと唾液が垂れ、それをまた逃さないと言うように舌で拭き取る。
「んんっ…あ、も、無理…」
カホは安室の服をぎゅっと掴んだ。熱を帯び、涙ぐんだ瞳で安室を見上げ、頬を赤らめた様子で。
「たまらないな…」
安室はカホの頭を優しくなで体を起こした。
カホは呼吸を必死に整えている。目はとろんとしていた。
安室がもう一度頭を撫でてやるとカホは目を瞑りそのまま眠りに落ちた。
安室は彼女を横抱きにし自身のベッドまで運んだ。
毛布をかぶせしばらく彼女の寝顔を見ていた。
安室の指が優しく彼女の額にかかった髪を払いのけた。
そして額に口付けをした。