第4章 友達
「付き合ってないよ?どうして?」
「だって安室さんがカホお姉さんと喋ってる時、なんか他の人と違うんだもん!」
「えーそうかなあー」
「絶対違うもん!なんかこう優しい感じ!」
歩美は手を大きく広げてカホに訴える。
「そうなのかなー、でも安室さんとはポアロで知り合った定員さんとお客さんさんだし、大袈裟に言っても友達だよ?」
「そっかー、歩美、すごくお似合いだと思ったんだけどなー」
歩美のその言葉にカホは胸がやんわりと温かくなった。
誰にも言えないし、事実ではないけれどそう思ってもらえるのは嬉しかった。
歩美はあ、シチューが冷めちゃう!と再びスプーンを持って食べ始めた。
「カホさんは彼と仲がよろしいんですか?」
「え?」
再びカホに尋ねたのは沖矢だった。
カホは急に話しかけられたのと、下の名前で呼ばれたことに驚いた。
「あ、仲がいいというか、ポアロによく通っている、という程度です」
「そうなんですか…美味しいですからね、あのお店のコーヒー」
「そうなんですよ、他のお店のコーヒー飲めなくなっちゃうぐらい」
沖矢とカホの会話をコナンは離れた所から見ていた。
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「では、私はこれで」
沖矢が博士の家を鍋を持って出ていこうとする。
「あ、待って下さい!」
カホはシチューを食べていた手を慌てて止めて沖矢に駆け寄った。
「あの、この前のお礼は…」
「大丈夫ですよ、お気持ちだけで十分です」
「そう、ですか…」
「…なら、連絡先を交換しませんか?」
「え?」
そう言うと沖矢は自分のスマホを取り出し、電話番号をお聞きしても?とカホに尋ねた。
「あ、だめでしたか?」
連絡先さえ知っておけばいつかお礼はできる。カホはこのままお礼は何もしない、ということは腑に落ちなかったので自分もよろしくお願いします、と行った。
「昴さんとカホお姉さんもお似合いだよねー!」
「そうですか?僕は安室さんとの方がお似合いな気がしますよ!」
「姉ちゃん美人だからかっここいい人とは誰とでも似合うんじゃねえか?」
少年探偵団のこの会話に
「おいおい勘弁してくれ…」
とコナンが思っているのはカホは知る由もなかった。