第4章 友達
「少々シチューを作り過ぎてしまったようで、お裾分けに来ました」
そう言って中に入ってきた男性には見覚えがあった。
「わーい、昴さんだー」
「今回はシチューですか!わー美味しそうですね!」
「うな重じゃねえのか…」
みんなが走って彼の元に駆け寄る。
私も彼の方へ近づいた。
「あの、」
「おや、あなたは…」
「この前スーパーの時に助けて下さった方ですよね?すいません、お礼もできずに…」
「いえ、お気になさらず…」
「カホさん昴さんと知り合いなの?」
「えっと、知り合いっていうか、私がスーパーで買い物をしていた時に助けてくれた、というか」
「助けてくれた?」
「彼女がお酒を選ぼうと悩んでいたので私が少し助言をしたんですよ」
コナン君はお酒…と呟いた。
「どうでした?おすすめしたバーボン、相手の方は喜んでくれましたか?」
「あ、はい!美味しかったと言ってました」
「そうですか、なら良かったです」
元太君がシチューを食べたい、と言ったのでそれをお皿によそう。哀ちゃんは、いつの間にかいなくなっていた。
「昴さん、ちょっといい?」
「なんだいボウヤ?」
コナンは沖矢に怪訝な表情を向けた。
「昴さんはカホさんと知り合いなの?」
「さっきも言いましたが彼女とは…「そうじゃなくて、
前から知ってたんじゃないの?」
「ホー、どうしてそう思うんですか?」
「だって、わざわざ"バーボン"を紹介するぐらいなんでしょ?昴さんが知りもしない人にわざわざそれをおすすめするなんて何かあるんじゃないかと思ってさ」
「あれはほんとに私の好きなお酒をおすすめしただけですよ」
コナンは沖矢の言葉にあまり納得してないように見えた。
「彼女は黒の組織とは関係ないと思うよ」
「どうしてそう思うんですか?」
「彼女は…そんな、人を殺められるような人じゃ…」
「コナン君!」
コナンはふと聞こえた声に驚いて一瞬ポーカーフェイスを忘れたが、直ぐに笑顔になって、
「どうしたの?カホさん?」
と返事をした。
「沖矢さん?がお裾分けしてくれたシチュー、コナン君も食べるかなって思って」
カホはお玉を持ってコナンに尋ねた。
「食べるよ!」
そう言ってみんなの元へ戻って行った。