第27章 見えない心
ジョディの話を聞いて以降、カホは赤井を思い出すことが多くなった。
長年自分が赤井に対し抱いていた印象がみるみるうちに変わっていく。
今のカホの中で赤井という人物は感謝してもしきれない人。
ジョディから聞いた話を赤井本人にちゃんと会って確かめたかったが、生憎カホは今の赤井の居場所を知らない。
連絡先も以前別れた後に消してしまった。
とは言っても実際カホが今赤井に会える状態にはなかった。過去の自分を見て赤井に合わせる顔が無かったから。
話したい、そう思ってもカホの胸は赤井を思い出す度に申し訳なさで痛んだ。
カホが今分かっているのは、赤井が無事生きている、と言うことだけ。
今はそれが分かっただけでもいい、カホがそう1人で安堵したのはつい最近のことだった。
しかし、彼女のその思いは今さっき扉越しに聞こえた会話で安心から不安へと変わった。
秀一さんが、殺されるかもしれない…
それも安室さんの手で…
カホは安室にとって自分の存在が迷惑なのではないか、と思ってからも彼への気持ちが薄れたわけではなかった。
例え安室にそう思われていたとしても、そう簡単にカホは安室を諦められる自信がなかった。
けれど、ベッドの中で震えた手を握りしめながらじっと何かに耐えるカホの思いには安室への恋心などは一切忘れ去られていた。
カホの心に1番にあったのは今は赤井の姿だったから。
赤井をどうにかして助ける方法はないか、カホはそればかり何時間もベッドの中で考えた。
ジョディさんに相談するというのも1つの案として浮かんだ。
けれどその為には自分が安室さんと同居しているという事を1から言わなければならない。
それに自分がコソコソと安室さん達の敵であるFBIの人と会っているのがもしバレたら今度はジョディさん達にも危害が及ぶかもしれない。
だめだ、
誰かに迷惑をかけることは絶対にできない。
となるとやはり自分が1人でどうにか行動しなければいけないい。
でも何が出来るの?
私は力も知識も何も持ち合わせていない。
こんな無力な自分が警察組織も重視する犯罪組織に立ち向かえるはずがない。
そもそもどんな組織かも詳しく知らないのに、