第24章 "彼"
好き同士の二人がこんな別れで本当にいいのだろうとジョディはずっと考えていた。
組織に入る為だとしても宮野明美と交際すると言うのはジョディはカホの事を考えるとやはり辛かった。
ジョディもかつて赤井に好意を抱いていた1人。
そんな赤井に恋人がいると知った時はショックを受けた。
でもカホと関わっていくうちに自分はこの子のようにはなれない、こんな真っ直ぐな目を向けられては勝ち目がないと思った。
赤井の傍にいるのは自分ではなくカホなのだ、それをいつの間にか納得していた。
ジョディはカホという人間が好きだった。
自分を姉の様に慕い、好奇心の目を向け、ジョディさん!と名前を呼んでくれると疲れを忘れてしまうぐらいに。
二人がずっと幸せにいれたら、
ジョディはいつからかそれを願うようになった。
けれどそれは急に崩れ落ちた。
ジョディはカホが心配だった。
今どうしているのか、元気なのか。
けれど赤井の家を出ていったカホの居場所が分かるはずもない。
電話を掛けようとしたが赤井にそれは止められた。
FBIと関わりがある事が彼女にとって不祥事を招くかもしれない、と。
あんなに近くにいたのに励ますことも、悲しみも共有することも出来ない。
ジョディは自分の無力さを痛感した。
宮野明美に非がない事はもちろん分かっている。
むしろこちら側が利用してしまっている立場だ。
状況確認の為に二人を監視した時は本当の恋人のように仲睦まじかった。
それがフリだとしても、任務の為だとしてもジョディは赤井を心の中で責めた。
カホが泣いている姿を想像してしまったから。
貴方が本来隣にいなきゃいけないのは、
何度もそう思った。
赤井が組織にNOCだとバレた後、宮野明美は組織に殺された。
それを聞いたジョディは初めて赤井の決断を納得せざるを得なくなった。
宮野明美は恐らく赤井と関わることがなければ命を落とさずに済んだ。
恋人、という立場であった為に目をつけられ最終的には最悪な形となってしまった。
もしもあの時別れていなければ、カホは…
赤井の決断は正しかった、ジョディはそう自分に言い聞かせる他なかった。
だがその考えは直ぐに揺らぐことになった。
赤井が死んだと聞かされた時だ。