第24章 "彼"
ある日の風呂上がり、カホはスマホに一通のメールが来ていることに気づいた。
そのメールの送り主を確認するとカホの顔に少し明るさが浮かんだ。
ジョディさん…!
そのメールはジョディからのもの。
数年ぶりの再会にも関わらずあの時はお互い仕事でありほんの数秒しか話せなかった。
カホもあれから何度かメールを送ろうとしたものの彼女の職業を考えて無闇に連絡してはいけないと文面を打ち込んでは消していた。
─明日会えない?─
カホはすぐさま、会えます!と返信しジョディから集合時間と集合場所が送られてきた。
ここ最近何かと暗く、思い悩んで気が重かったカホにとってジョディからの誘いは純粋に嬉しかった。
自分より一個上で憧れの女性。
かっこよくて美人で仕事も出来て責任感も強い。
友達と言えど妹のように可愛がってくれた。
カホは明日のジョディとの約束を待ち遠しく思いながら目を閉じた。
次の日、カホはお気に入りのロングコートに身を包んで待ち合わせ場所へと向かった。
約束した店の前に真冬にも関わらず丈の短いワンピースに黒のロングブーツを履いた金髪のショートヘアの女性。
周りの男性がチラチラと目線を向けるも本人は特に気にすることなく待ち人を探している。
目線の先に彼女の姿が映るとジョディは彼女に駆け寄った。
「カホ!!」
ジョディはガバッとカホに抱きついた。
あまりの衝撃にカホは思わず倒れそうになるもジョディらしいなと微笑んだ。
「ジョディさん…!ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」
「私もさっき来たところよ!さぁ、早くお店に入りましょ」
ジョディが予約してくれたお店はなんともオシャレな雰囲気のイタリアンのお店だった。
カホはメニュー表を見てその金額に驚き一番安い料理を頼もうとした。
だがジョディに私の奢りだから好きなの食べなさい!と言われ遠慮しながらも気になっていたパスタを頼んだ。
「しばらく見ないうちにまた美人になったわね!」
「ジョディさんも相変わらず綺麗でかっこいいです」
「…そのロングコート、まだ使ってくれてるのね」
「これは私にとって宝物ですから」
「ふふ、そう言って貰えると嬉しいわ」