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恋と麻薬【名探偵コナン】

第23章 信用できる人


「昴さんの気持ちも分かってたのに…ごめんなさい、こんな形になってしまっ……!」

急に彼の顔が近づいてきたと思えば唇に久しぶりの彼の感触を感じた。

グッと押し付けられて、口内に舌が入ってきて

「んっ!…んんっ…」

彼の胸を押して抵抗するもそんなの全然意味もなくて、逆に玄関の扉に背中が触れた。

「だめっ…はぁっ…んっ…」

酸素を取り込む隙も与えないぐらい次から次へとそれは降ってきた。
それはまるで感情を押し付けているかのような
そんな、一方的にされるキス

口内も愛情を与えるようなそんなキスじゃない
ただ激しく暴れて舌が触れて

なんだか苦しかった。
呼吸も、口内も、心も

こうさせてしまった原因は自分にあるのだと
昴さんを責めようにもそれは今の自分にはできなかった。

「っは…はぁ…はぁ…」

私を扉に押し付けたまま彼は尋ねた。

「彼に、安室君に…脅されてるんじゃないですか」
「…どうして、そんな」
「そう言え、と。…違いますか?」

間違ってもいないその言葉。
でもどうして昴さんからそんな事を言われるのか分からなくて

昴さんこそ安室さんと関わりはあまり無いように見える。
なのにどうして、そこまで警戒する必要があるのか。

「…そんな訳、ないじゃないですか」
「もしそうだったらここにいてくれて構いませんから。むしろそうして欲しい」
「…違います、そんな脅されてるなんて」


「だったらどうして」

消えそうな彼の声に思わず顔を上げた。
昴さんの、グリーンの瞳が少し揺れているように見えて
胸が潰されるように苦しくなって

目の端から涙が溢れたのが分かった。
それを昴さんが指で拭ってくれた。

「カホさんが辛くて、1人で泣いているのは嫌なんです」
「…辛くなんか、ないですよ」
「1人で耐えて、彼に見つからないように落ち込んで」
「そんなこと、しません」
「そんな思いするなら、ここにずっといて欲しい」


昴さんの言葉が、あまりにも心に響いた。
憶測で言っているはずなのに私のことを見透かされているようなそんな気持ちで
ここにいて欲しいという言葉が、嬉しくて

こんな私でもそう思ってくれている人がいる事が




恐らく昴さんの元で暮らしていたらきっと穏やかで安心できて

私の事を分かってくれて



苦しい思いもすることはないだろう。





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