第23章 信用できる人
私が舌先を唇の隙間に入れると安室さんは少し口を開けてくれた。
そのまま奥に進めてそれが彼の舌に触れた。
その後にどうすればいいのかよく分からなかったけれど自分のを彼のに絡めてみた。
すると彼は舌を奥に引いた。
「んっ…」
それを思わず追いかける。
けれど彼は自分の口内で舌を器用に動かしてそれをなかなか捕まえさせてはくれない。
こんなにもキスをするのが大変だとは思わなかった。
いつも手馴れたようにそれをする彼は相当上手なのだろうと
他の人にも…してるからなのかな
ふとそんな考えが浮かんで胸がチクッと痛んだ。
目の前の彼は楽しそうに私を見ていて
私にはそんな余裕はないのに
彼の舌を追いかけるのをやめて私は彼の歯列をなぞった。
その時に彼が少しピクっと反応して舌の動きを止めた。
その隙に自分のを彼の舌に絡ませた。
今度は逃げなかった。
ただただ私の舌を受け入れて、瞳は私を見たままで
それが何だか落ち着かなくて私は目を閉じて舌先に神経を集中させた。
水音が部屋に響く。
その音に自分は安室さんにキスをしているのだと余計意識してしまった。
しばらくしてもう続けられそうになくなった私は唇を離した。
目を開けると濡れた彼の唇が視界に入って
それがとても官能的で、いやらしくて
「安室さ…
「カホさん」
手を離して。
言おうとしたその言葉は彼に呼ばれた名前に遮られた。
ガシッと両手で頭を掴まれて前に引き寄せられて
すぐに唇にさっきまで触れていた感触を感じた。
驚いてついテーブルから離してしまった手は彼に掴まれて行き場を無くした。
「んっ…は…んん…」
噛みつくようにキスされてすぐに彼の舌が入ってきて
彼のように上手く逃げられない私はすぐに彼の舌に絡め取られた。
開いた口から漏れる声は抑えることができない。
彼のキスは段々と私に快感を与える。
唇を重ねる事が、舌を絡ませることがこんなにも気持ちいい
それは否定できない事実。
「はぁ…んっ…」
酸素を求めようとしてもすぐに彼の口に塞がれる。
その苦しさも徐々に快感に変わっていった。
やっと離された唇。
外気に触れたそれは酸素を求める。
両手で頭を掴まれたまま彼は自分の方に頭を上げさせる。
「キスって言うのはこうやるんですよ」
彼の指が私の唇をなぞった。