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恋と麻薬【名探偵コナン】

第3章 居場所


その後、彼らがお金を差し出してくることはなかった。

我々に出来ることがあったらなんでも言ってください、と言われたが、気持ちだけ受け取っておきます、と告げた。




会社へ出勤すると課長に呼び出された。
昨日あった出来事に関して、あの男の会社から謝罪があったらしい。
個人に向こうの社長が謝りたいと言っているらしいが私はそれを断った。
課長は少しの間休んでもいいと言ってくれたが、仕事をしている方がかえって気持ちが紛れていい、と伝えた。









今日は残業もなく定時にあがった。なんとなく家に帰るのが憂鬱だった。
会社の近くにあったマッサージ店へ行き2時間ほど施術をしてもらったが思ったより疲れは取れなかった。

その後以前深山さんと訪れたことのあったバーへ行った。
同じのを5,6杯飲んで少しほろ酔い気分になった。
眠気が襲ってきてそのままカウンターに突っ伏した。

「お客さん、閉店時間ですよ」

そう声をかけられ目を開けた。

腕時計を見るととっくに日を跨いでいた。




少しふらつく足取りでバーを出る。
何も考えず進んでいたところ、どうやら行きとは違う通りに出てしまった。自分がどこにいるのか分からなかった。


今の自分みたいだな…



ふとそう思った。



近くにあった廃ビルが目に入り、今日はここで休んでもいいか。と思った。

野宿なんて生まれてしたことがない。
普段なら考えもしないことだった。

でももうどうでもよかった、

生きることに疲れてしまった。




ビルの裏口に階段を見つけある程度の階数を登っていく。




「他に何か言うことはありますか?」

ふと男性の声がした。丁度今、自分がいるフロア、目の前の扉の奥からだ。

「やめてくれ…!俺にはまだ家族がいるんだ!今回ははめられたんだ、あいつらに!見逃してくれ…!」

また別の男性の声が耳に入った。どうやら怯えて必死に訴えているように聞こえる。

「あなたを見逃したら、僕が殺されちゃいますからね」


そう聞こえたかと思うと、カシュンッ!となにやら音が聞こえ、どさっ、っと倒れる音がした。



もちろんこんな状況は経験したことがないので中がどうなっているかは分からない。だが、急に話し声が消えたのと何か倒れる音がしたことから、もしかしたら…と現実から離れた連想をした。


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