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恋と麻薬【名探偵コナン】

第22章 静寂


一方工藤邸では沖矢昴が一人スマホを片手に悩んでいた。

本当に仕事だろうか

考えすぎと言えば考えすぎ
彼女が働いている大企業ならばトラブルの規模も莫大なはず

しかしなんだ
この腑に落ちない感じは

さっきから連絡をしても一向に反応がある様子はない。
忙しくて出れない、それは彼女自身も言っていたことなのだが。


沖矢はどうすることもできずただカホからの連絡を待つだけだった。


カホのいない工藤邸はシーンと静まり返っていた。
元々一人でこの広い家に住んでいたと言うのにカホが来てからその賑やかさに慣れつつあった。
一緒に食卓を囲む相手もいなければおやすみなさいと声をかける相手もいない。

沖矢はいつの間にかカホといる今の空間が離しがたいものになっていた。

いつまで続くのか分からないこの関係でカホが自分の元を去った時、自分はそれを受け入れられるのか。



こんなにこの家は広かったか

人一人いないだけでこんなに静かになるのか


カホが…いないだけで





沖矢はその日どこか不快感の残ったまま天井を見上げた。

早いうちに帰ってくるだろう


そう信じて















次の日の朝

目が覚めたカホは一瞬いつもと違う天井に驚くも昨日の記憶が鮮明に頭に蘇った。

身体を起こそうとして手首に覚えのある感触。

ああ、また付けられたのか

その冷たい感触は昨日嫌というほど感じたもの。


ただ拘束されているのは手首だけ。
足は自由に動かせた。

自分の身体にはいつ着せられたのかも分からない部屋着。
それはかつてここにいた時に自分がよく着ていた服。
ふわっと彼の使っている柔軟剤の匂いがした。



ガチャと自室のドアを開けてリビングに出た。

そこには誰もいなかった。
けれど別の部屋から物音がして彼の存在を感じた。


彼の部屋の扉が開いてスーツ姿の彼が出てきて


おはようございます


久しぶりに聞いた彼のその言葉。



「手錠…外してもらえませんか」

そう言って自分の胸の前に拘束された手首を差し出した。

「外したらカホさんここから逃げるでしょう?」
「…逃げません」
「今間がありましたし、まだ外すのはやめておきます」











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