第3章 居場所
特に会社に支障をきたしたりはしなかった。むしろ没頭して作業も速くなった。課長から真面目に出世の話も出始めた。
残業で会社を出るのが9時を過ぎてしまったある日、私は少し急ぎめにアパートへと帰っていた。
いつも通りの帰り道、だがその日は違った。
私ではない足音が聞こえるのだ。
私は怖くなって少し駆け足になって先へ進んだ。すると相手も速度を速めた。
怖い
私はピタリと動きを止めて後ろを振り返った。
誰もいなかった。
気味の悪さを覚え前を向いて走った。
しばらくして後ろから足音が聞こえる。それは段々大きくなっていった。
グイッ
手首を掴まれ近くにあった人通りの少ない脇道へと連れ込まれた。ただでさえ夜遅いため人が通っていない。
「んんーっ!ん!」
口を手で塞がれ声を出すこともできない。前を見ると見覚えのある顔だった。いつかのクライアントだ。
「ふふ、その必死な顔も可愛いね。カホちゃん」
目の前の男は全身を舐め回すように上から下へと視線を上下させた。
逃げなきゃ
そうは思ったが怖くてその場から動けなくなってしまった。
「この前のうちとの取引の時にね、僕は君に一目惚れしてしまったんだ。その時からずっと触れたかった。その瞳にも唇にも、身体にも」
そう言うと男は私の胸を鷲掴みにした。
「んーっ!んんー!」
私は必死に顔を左右に揺らした。が、相変わらず男の左手が口を全面的に覆っているためくぐもった声しか出せない。
「はぁ、はぁ、」
男の呼吸が荒くなってきたと思うと。下の方からカチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。男はズボンを下げ、下着もずらした。
すでに勃起した陰茎が勢いよく現れる。
それを男は握り上下に扱き始めた。
「はぁ、可愛い、可愛いよカホちゃん。何度も君で抜いたんだ。君のその身体を想像して…」
ネチャネチャと水音が静かな夜の住宅街に響き渡る。次第にそれは激しくなっていった。
「あぁ…イクっ、出すよ、カホちゃん…僕の、精液
あぁぁ、イクっ、出るっ…!」
男の陰茎から飛び出した白濁とした精液が私のスカートにかかった。
目の前の男は乱れた息を整えて満足気に笑った。
「最高だったよカホちゃん」
そう言ってその場を去っていった。