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恋と麻薬【名探偵コナン】

第18章 不測


彼は段々とこちらに足を進めて近づいてくる。
私は思わず後退りをした。

「久しぶりですねカホさん。ポアロも最近はいらしてなかったので心配していたんですよ」

目の前の彼はそう言って、いかにも安堵のような表情を浮かべた。

私はまだ頭が混乱したままだった。

「…仕事が、忙しくて…すいません」
「落ち着いたらまた来てくれますか?」
「落ち着いたら…、でも…しばらくは…無理だと思います」
「そんなに忙しいんですね、お仕事…」
「はい…なので、もう帰らないと、」

彼の目を見ることはできなかった。
怖かった。
何を考えているのか。

苦しい…
呼吸の仕方を、忘れてしまったかのように

早くここから去ってしまいたい

「では…」

私は軽く会釈をして彼の横を通り過ぎる。
足が鉛のように重くて、震えて、ちゃんと歩けてるかな、なんて


「待って下さい」

右手を掴まれる感触。
包帯を取ったばかりのその場所は、がっしりと掴まれても痛みを感じなかった。

「…な、なんですか」
「今ここで殺人事件が起きたんです。1人で帰らせるのは危険なので僕が送っていきます」
「いいです、1人で帰れます」
「僕が心配なんです。すぐに解決しますのでここで待っていて下さい」
「いえ、本当に大丈夫ですから…」
「カホさん」


私の名前を呼んだその声は少し低くて重厚感があった。
彼を見ると、その目は優しいものではなくて、逃げるな、とでも言われてるかのような、そんな目で

「絶対、待ってて下さいね」

行こうコナン君、と安室さんはコナン君を連れてもと来た道を戻った。



しばらくして事件は解決した。
病院には蘭ちゃんも居たらしく、全然会えなくて寂しかったです!と抱きついてきた。

そっか…ポアロに行かなくなっちゃったから、

今までは大抵ポアロで蘭ちゃんや園子ちゃんと会って一緒に話をしていた。

ポアロ以外で二人に会うことは、あんまりない。

ごめんね、と言って蘭ちゃんを抱きしめた。

「じゃあ今度一緒にどっか遊びに行こっか!園子ちゃんも誘ってさ」

そう言うと蘭ちゃんはパアアァと効果音が着きそうなほど笑顔になった。
ポアロは、行けないから…ごめんね、

私はもう一度そう心の中で蘭ちゃんに謝った。


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