第3章 居場所
「こんないい娘を振るなんて、彼ももったいないことしたわね!」
突然お母さんは大声でそう言った。私の背中をバシッ、っと強めに叩いた。
「いっ…ちょっと、強すぎ!」
「私の娘より好きなんて、どっかの国の王女様なのかしらね!」
わたしがお母さんの方を見ると、お母さんはプンスカと怒っていた。
私はあなた以上に可愛い子なんていないと思うわ!、なんて言って私に出したはずのココアを飲んでは、あっま、と言って私の方に戻す。
「だったら飲まなきゃいいじゃない」
「喉乾いたんだもの」
だったらココアじゃなくたっていいんじゃないのか。
お母さんとわいわい騒いでいると突然お父さんが
「彼はここ数年で目が悪くなったのか」
と言い出した。
は?
「え、何言ってんの?」
「こんな美人な娘を手放すとは眼科にでも行った方がいいんじゃないのか。」
前から分かっていたが私の両親は親バカである。が、まさかここまでだとは思わなかった。
「こんな美人な親から生まれたんだから当たり前よねー」
確かにお母さんは物凄く美人だ。目もキリッとしているし年齢にしては肌もまだまだツヤがある。それに加えて少し顔には幼さが残っている。
だが自分で言うのはどうかと思う
まあ今に始まったことじゃないのだが
こんな会話が続き、私は次第にクスクスと笑えるようになっていた。
「ここに戻ってきもいいぞ」
「え?」
お父さんがふっ、と笑ってそう言った。
「住む場所がないんだろ?一人暮らしをしたいのならそれでもいいが、どっちにしろすぐには見つからないだろ。大学もまあまあ近いしな。まあ、春からの就職先へは多少遠くなってしまうが」
ああ、私は本当にこの両親に生まれてよかった
「ここに住んでもいい?」
「その代わり、家事も手伝ってね」
お母さんの方を見るとニコニコしている。
これはたくさん押し付けるつもりなのだろう。
「今日からよろしくお願いします」
こうして私の実家暮らしは始まったのだ。