第17章 重なる※
「きゃっ」
カホは目の前の沖矢の胸に飛び込むように倒れた。
沖矢は咄嗟にカホを抱きしめた。
その時に触れたカホの柔らかな肌。
自分の胸に当たっているのはカホの膨らみ
カホの姿に感情を殺して耐えていた沖矢
彼女に触れた瞬間、そこに小さな亀裂が生じた。
「ご、ごめんなさい」
カホは慌てて体制を戻した。
「いえ…しかし危ないですね」
「え?」
「もしまた同じような事があったら怪我ではすまないかもしれません」
「そうですよね…、気をつけます」
「なので、私がお手伝いします」
「?」
「カホさんの体、私が拭きますよ」
沖矢は淡々とそう告げた。
カホは沖矢の言っている言葉の意味を理解して慌てる。
「い、いえ!そんなことしてもらう訳には」
「でもカホさん、さっきみたいになったら大変ですよね」
「それは、気をつければ…」
「次は骨折でもするんですか」
「そんな、こと…」
「一人でするより誰かに手伝って貰う方が負担もかからないでしょう」
沖矢はカホを担いでベッドへと座らせた。
「きゃっ」
「危ないので大人しくして下さいね」
沖矢はカホのベッドへ上がるとカホを挟むように後ろに座った。
カホは沖矢と密着していることに狼狽を隠せないでいた。
「昴さんこれは…」
「こっちの方が拭きやすいので」
「そういうことじゃない…って…」
沖矢はカホの言葉を遮って濡れたタオルで腕を拭き始めた。
「昴さん、ほんとに自分で出来ますから」
「この際全部拭いてあげるのでカホさんはリラックスしてて下さい」
全部
カホは沖矢の言葉により焦った。
そんなの、耐えられるはずが無い。
しかし逃げようとしてもカホは沖矢に背後も左右も囲われている。
どうやってもこの場から抜け出すことは出来そうもない。
カホはこんなに沖矢に触られるのは初めてだった。
一度キスをした事はあっても身体に触れられた事はない。
沖矢の優しい手つきもまた、なんだか落ち着けない理由であった。
左右の腕を拭き終わり、沖矢はカホのお腹へと手を移動した。
そこから段々上に場所を移す。
カホの胸のあたりに差し掛かった時、沖矢は尋ねた。