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恋と麻薬【名探偵コナン】

第16章 思考


玄関の扉が開いた音がしてカホが帰ってきたのだと気づいた。

が、今日はなんだかいつもと違った。

ただいま

この声が聞こえない。
いつも彼女は帰ってきたら必ず言うのだが。

そうかと思えばカホはどうやら二階に行くようだ。

なにかおかしい

俺が様子を見ようと部屋のドアに手をかけたときだった。

ドタッ

何かが落ちたような、そんな大きな音が扉の向こうから聞こえた。
俺は急いで扉を開ける。

俺の視線の先に階段のふもとで倒れているカホの姿があった。

「カホさん!」
俺は急いでカホの元へ駆け寄る。
この位置からして恐らく階段から落ちたのだろう。
でもそれにしてはカホの様子がおかしい。
顔に汗が滲んでいる。
さっきから名前を呼んでも苦しそうに唸るだけ。

額に手を添えると尋常ではない熱さ。

くそっ

なんで朝に気づいてやれなかったんだ。

カホは熱を出している。
フラフラの状態で二階に行こうとして階段から落ちたということか。

俺はカホの呼吸状態を確認する。
呼吸は苦しそうだが出来ている。
倒れている体制は横向き。
右腕が後頭部の下に近くにある。
恐らく咄嗟に頭部を守ろうとしたんだろう。


俺はカホを抱きあげ後部座席に寝かせた。
そのまま急いで病院へと向かう。
その間もカホは苦しそうに呼吸をしていた。


病院に着き救急外来へと向かう。
事前に症状を伝えておいたためか、カホはすぐに処置室へと運ばれた。

何もないといいが

俺はそれを願うしかなかった。







「七瀬カホさんの付き添いの方ですよね?」
しばらくして一人の看護師に声を掛けられる。

「はい」

「七瀬さんなんですが、幸い階段からの転落は右手首の捻挫だけで済みました。レントゲンを見ても体に異状は見られません。熱は症状からして風邪から来たものだそうです。湿布と解熱剤を出しておきますので、今日はもうお帰りになって大丈夫ですよ」

看護師の言葉に俺は胸を撫で下ろした。

後遺症など残ってしまうようだったらどうしようかと心配していたが、幸い捻挫で済んだ。

熱は恐らく昨日の雨だな。
彼女が目を覚ましたらもう一度ちゃんと言わなきゃならんな。




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