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恋と麻薬【名探偵コナン】

第12章 抑制※


─ガチャ─

扉が開く音がして俺は足早に玄関へと向かった。

そこには息を切らして呼吸を整えている彼女がいた。
額には薄ら汗もかいている。


「カホさん、何かあったんですか」
「なんでもないわ」

彼女は靴を脱いで俺の横を通り過ぎた。

何かおかしい

彼女は俺に目を合わせようともせずリビングへと向かう。

「なんでもないわけないでしょう。そんなに息を切らして」
「本当になんでもないから」

彼女は俺に背中を向けてそう答える。
ふと彼女のスーツの後ろ側が汚れていることに気づいた。
土、のようなものが乾いた跡。

どうしてそんなところに

俺は疑問を抱く。


目の前の彼女は今にも部屋へと入ろうとしていた。


「カホさん」

俺は彼女の腕を掴んで自分の方へ向かせた。


彼女は慌てて、焦ったように俺の目を見た。


どうしてそんな顔をする


俺は視線を下へ移す。


ブラウスの上のボタンが2,3個無くなってはだけ、少し下着が間から見えていた。
よく見るとスーツも今朝よりだいぶよれている。


まさか…


「カホさん、もしかして…


「ほんとになんでもないから、ほっといて」

彼女は再び前を向いて部屋に入ろうとする。


放っておけるわけ、ないだろ


俺は彼女の腕をさっきよりも強めに握る。


「ちょっと、離して」
「話してくれたらそうします」
「だから何にもないって…」
「じゃあその格好はどう説明するんですか?」

そう言うと彼女はバツの悪そうな顔をして目線を逸らした。

「警察に行きましょう」
「いやよ」
「どうしてですか」
「別にどうしてもらいたいとかないし」
「このまま無かったことにする、ということですか」
「被害者の私がそう言ってるんだから別にいいじゃない」

彼女はどうやら本当に警察に行くつもりはないらしい。
こんな事されておいて彼女はそのまま寝ようとしているのか。

「そんなことされておいて…」
「別にこれが初めてじゃないの」
「は?」
「前にも1回似たようなことがあった」


前にも…?ってなんだ。
俺はそんなこと知らない。
調査書に書いてあったか?
そんな大事なこと、どうして分からなかったんだ…。


カホもどうして俺に言ってくれなかったんだ。







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