第12章 抑制※
これは自分の調査不足。
それは分かっている。
しかもこんな大切なこと。
でも目の前の彼女がその危機感をまるで分かっていない。
まるでこうなっても別に気にしないかのように。
どうしてそこまで強がるんだ。
せっかく彼女と近づけていたと思ったのに。
今はまた彼女が遠くなる。
それに彼女の身体を別の誰かが触ったこと。
恐らく公園かどこかで馬乗りにでもされたんじゃないのか。
そこまでされておいて…それか
「本当に何もしないつもりですか…」
「そう言ってるじゃない」
「そうですか」
俺は彼女の腕を引いて自分の部屋に連れ込んだ。
そのままベッドへと寝かせて上に乗る。
「ちょっ、何するの」
「カホさんはこうされたんですよね」
「そうだけど…」
「もっと必死に抵抗してくださいよ」
俺は彼女のブラウスのボタンを外していく。
「安室さん、ほんとに」
「こんなことされてまで貴方はそのままでいいと言うんですか」
「…最後までされてないから」
「へえ、それならいい、と」
俺は全てのボタンを外してガバッとブラウスをはだけさせる。
彼女の下着に包まれた乳房が露わになった。
綺麗だ
こんな状況でそう思った。
自分がしていることは彼女を襲った奴と同じにすぎない。
彼女を現に怖がらせているかもしれない。
けれど、そんな簡単に身体を触らせるな、許すな。
俺以外に
俺は彼女にキスをした。
彼女が酸素を求めて口を開いた瞬間に彼女の口内に侵入した。
「…んっ、あ」
彼女の口から漏れるその声が俺の興奮を高めた。
もっと…もっと…
自分の舌先を彼女の舌に合わせて絡めとる。
彼女はそれから逃げようとするがそれをまた追いかけては絡めた。
卑劣な水音が部屋に響いた。
俺は彼女の歯列をつつーっとなぞった。
「…っん、あっ…や」
カホは身体をビクッと跳ねさせ甲高い声を漏らす。
ここが弱いのか
俺は探してた獲物を見つけたかのようにその部分を何度も舌で舐めた。
その度にカホは身体を震わせた。
今まで見せたことの無い彼女のその姿は俺の奥に秘めた何かをふつふつと燃え上がらせた。
ああ、彼女をこんなにさせているのは俺だ
口付けを交わしながら自分の口角が上がるのを感じた。