第11章 出会い
その日の夜は彼女は俺のベッドで寝た。
俺は彼女が寝たのを確認して風見にメールを送る。
─七瀬カホ。彼女について早急に調べてくれ。
訳あって彼女と安室名義の家で一緒に生活することになった─
メールを送信してすぐに風見から着信が来た。
「降谷さんどういうことですか…!」
「おい風見、俺がなんのためにメールで連絡したと思ってるんだ」
「すいません、ですが降谷さんが誰かと一緒に暮らす、さらにそれが女性となると何があったのかと…」
「組織での現場を見られたんだ。彼女を殺す訳にはいかなかった。だから監視として家に住まわせる」
「そういうことですか。しかし、大丈夫なんでしょうか。得体もしれない彼女を降谷さんの傍に置いておいて」
「彼女は誰かに今日のことを口外したりはしないと判断した。変に自由にさせるよりこっちの方が都合がいい。それに、少し気になることがある」
「なんでしょうか?」
「彼女の家族の周りで何か事件や事故が起こってないか調べてくれ。妙なことを言っていたからな」
「わかりました。分かり次第連絡します」
失礼します、と風見は電話を切った。
やけに慌てていたな
今まで余計に人に関わろうとしなかった自分が誰かと同居するのだ。
俺のことをよく知っている風見なら尚更何事かと思うだろう。
本当に俺もどうしてしまったんだろうな
今になって、この家に自分以外の誰かがいる、
ましてや自分の寝床を貸しているという状況に違和感を覚えた。
昨日まではこんなこと有り得なかったな
俺はふと彼女が眠っている自分の部屋へと目を向ける。
もっと自分に気を許してほしい。
それは難しい願いかもしれないが、俺はこのまま今の状態で彼女と付き合っていくつもりはない。
彼女が死んでもいい、とは思わないように。
俺が傍で支えてやりたい。
そうさせたい。
しばらくして風見から彼女についての調査書が送られてきた。
七瀬カホ 女性
年齢は25歳
13の時に親の仕事によりアメリカへ引っ越す
17の時に日本に帰国し帝丹高校へ編入
その後東都大学へ入学
卒業後は大手製薬会社へ務める
両親は交通事故により死亡
他にも色々と書かれていたが気になるのはこの辺りだろう。