第20章 羨望
「で、言い訳はあんのかよ」
実弥がカンカンに怒っている。テーブルに座って、まるでドラマの事情聴取みたい。
「……だ、だって、さ、実弥が…」
「あ?俺がなんだよ…」
「実弥が…殺害計画立てられるくらい、カナエと仲良いからでしょッ!!!」
もうこうなったら勢いだ。
叫ぶだけ叫んで、自室に逃げた。
「は…?お、おい、!?殺害計画?な、何だ?胡蝶が何だって!?」
実弥が部屋の外で何か叫んでいた。
「おい、出てこいよ!!」
「うるさい!!仕事するの!!!」
部屋の鍵を閉めればもう入ってこられない。
私はペンタブのペンを握って、ごりごりに絵を描いた。実弥はしばらくそこにいたけれど、途方に暮れて去っていった。
数時間後、日付が変わる頃に風呂に入って髪を乾かし、さすがに寝ただろうと思って寝室に向かう。
…明日も四時起きなのに。仕事の依頼けっこうきてるんだよなぁ。
さっさと寝ようと寝転んだとき、ガシッと後ろから絞め技をかけられた。
「えッ!?ちょ、痛いんですけど」
ギチギチギチ、と力を強められる。待て待て待て起きてたのかよ気づかなかったんだけど!?
「逃げられたらたまんねえからなァ…」
「はい…?」
「冨岡と連絡とって話しはだいたいわかったわ、ちょいと話し合おうぜ…!!」
「話し合いする体勢かこれがッ!!!!!」
私は涙目になりながらしばらく絞められていたが、やがて解放された。本気で痛いんだが。