第20章 羨望
部屋に帰り、どんな事情があるかは知らないが何だかムカついてきたのでとある人物に電話をかけた。
「もしもし冨岡くん!?仕事終わった!?」
『終わった。久しぶりだな、霧雨。』
彼は中等部のとき同じ部活だった。今も交流がある。カナエも彼もキメツ学園の教師をしている。
「明日何時に仕事終わる!?」
『わからん。いつも六時までには帰る。』
「ナイス。仕事終わったあと帰るだけ?暇?」
『暇だ。』
実弥は毎日夜の八時より遅くに帰ってくる。…はやく帰ろうと思えば帰れるんじゃねえかあの野郎。
「明日ご飯行こ!!私の話聞いてほしい!!!」
『別にいいが。』
「ありがとう友よ…じゃあ終わったら電話して…。」
そこで電話を切った。
ふははははは、貴様が遊ぶなら私も遊んでやるぞふははははは。
よりによってあんたが嫌いな冨岡くんとね!!
……何だか虚しくなってきた。
お腹も空かないし、もう寝よ。疲れた。
風呂に入ってさっさと髪の毛を乾かし、ベッドに入る。まだ八時とかだけど、朝四時起きで動き回った私には超絶眠い時間。
……別に、実弥が私に嫌気が指して他の女の人のところにいくのは…文句はない。だって、私にはしてあげられないことがその人はできるかもしれないから。
わかってる。いじけてるだけ。
私は自分に言い訳をして、布団を頭まで被った。
気配で彼が帰ってくることはわかっている。
「ただいまー」
声がするけど無視。もう私は寝る。
「いねえのか…?」
リビングの電気をつける音がする。へへーんだ、いますよ~。
荷物をドサドサと置く音がして、スーツのベストを椅子にかける音がする。
晩ごはんは冷蔵庫の中です。チンしてどーぞ!!
「」
名前を呼ばれるも反応しない。
私の部屋の扉をノックして、開ける音がした。
だが当然私はいない。