第20章 羨望
四時に起きて仕事して、実弥が焼いただけのパンを食べさせてくれて、仕事に行くのを見送ってからまた仕事に戻る。
お昼ごはんを食べてせっせと引っ越しを進める。
(ベッドは無理だから業者に引き取ってもらおう。実弥はいらないって言ってたし、私もいらないや。寝室がないから、寝具もお互いの自由だよね。どうしよ。ソファーベッドとかにしようかな。)
必死に頭を働かせて作業を進める。だいぶ片付いてきた。
(あとちょっとだ。)
私は再び気合いをいれ、作業が奮闘した。
いつも突然何かは起きる。
引っ越し先の部屋での作業を終え、夕方頃に車を走らせ、赤信号で停止しているときに気になるものが見えた。
実弥が歩いていた。キメツ学園も住んでいる場所からも距離があるところを、自転車を押しながら実弥が歩いていた。
(んん?)
そしてその隣に、中等部で出会い今もとっても仲良しのカナエがいた。
(んん??)
私は青信号により前進した。二人を追い越したが、たくさんの車が行き交う中二人は気づくはずもなく。
(んん???)
めちゃくちゃ楽しそうに話しながら歩き続けていた…。