第18章 これから
実弥がしばらく黙ったあとに言った。
「別に寝室はいらねぇだろ。個人部屋ありゃいい。」
頭をフルスイングのバッドで殴られた気がした。
「あーそう?これくらいのサイズでええんやったら他にもいくつかあんで?」
「ならそこも見るかァ。」
実弥とアマモリくんが話している。
………寝室、いらないのか。
そっか、そうだよね。
…子供、諦めたんだもん。
一通り物件を見たけれど、三件目に見た場所がいいという決断に至った。
「えーっと?まだ今住んでるとこの契約切れてへんのやろ?予約ってことにしとこか?」
「頼むわ。」
「あー、んならこの書類に色々書いて。」
実弥がすらすらと書類に文字を書く。それをその横でぼんやりと眺めていた。
「キリキリちゃん。」
「え?何?」
「ん~ん、呼んだだけ~。」
「人の彼女で遊ぶな。」
実弥がアマモリくんにキレる。ああ、中学生のまんま。
「キリキリちゃんと会うと安心するわ~。俺の癒しやねん。」
「…?私も会えて嬉しいよ?」
「やったぁ。」
アマモリくんが嬉しそうに笑う。
「おい、書けたぞ。」
「お、サンキュー。これで予約できたっちゅーことやから、決まったら連絡してな~。」
書類も書き終えたので、そこで不動産屋を出ることにした。
アマモリくんに礼を言い、外に出て車に乗り込む。
「お前、アマモリと仲良いよなぁ。」
「うん。大切なお友達。」
実弥から少し不機嫌な気配がした。
「何、ヤキモチ?」
「永遠に黙ってろ。」
「きゃっ、可愛い。」
「黙ってろって言ってんだろ!!」
相変わらずそうしてわちゃわちゃしながら、私達は今の部屋に帰った。
そのあとは私も仕事がたまっていたので、缶詰状態で必死に仕上げた。