第18章 これから
「いらっしゃ~い」
やけにフランクな人が担当になったと思えば、その顔と名札を見て驚いた。
「うえぇ!?アマモリくん!?」
「久しぶりやなあキリキリちゃん、中学の卒業式以来!」
そこにいたのは天野冴守。通称アマモリ。前世の私の専属刀鍛冶にして、中学の同級生。
「いや~ほんまべっぴんやねえ、不死川の何が良かったん?」
「それがねぇ、ヤクザみたいな目に射ぬかれたの。キャッ。」
「お前らぶっ飛ばすぞ。」
「「ごめん」」
懐かしいなあこの感じ。外部進学したから、ずっと会えてなかったんだよねぇ。
「不死川が朝はように電話してきたからムカついたわ。いわく付きの物件あらかた調べてきたから、良さげな幽霊のいる部屋選んでや。」
「何で今から住もうとしてる部屋にすでに住み着いてんだ。他のにしろ他のに。」
「うわ…お墓の真ん前じゃない、嫌だぁ…。」
「でも駅から徒歩三分やで。幽霊から徒歩ゼロ分やけど。」
「んな物件すすめてくんな!」
アマモリくんは一通りふざけたあと、真面目に話し始めた。
「んで…そこの通報一歩手前の強面お兄さんから言われた条件やと」
「変な呼び方すんな」
「あんま贅沢な部屋はいらんけど…防犯がしっかりしてるんと、ペットオーケーちゅーことやけど、キリキリちゃんは何かある?」
突然話をふられて、少し悩んだ。何せ突然連れてこられたからなぁ。
「そうねぇ。洗濯機が中に置けて…。あ、これは後回しでいいけど、コンロが二つあるとか、浴室乾燥機があるとかだと嬉しいなぁ。あと、洗面台とお風呂場が別になってるお部屋。
それで、日当たりが良くて、ベランダがあって、お布団干すのが楽なところ。あと、ポストは部屋のドアについてないやつがいいな。」
「……条件厳しすぎないか…」
「アホ。こんくらい当たり前や。男と女は見てるとこがちゃうってことや。お前の言った条件やとピンからキリまであって何も絞りこめへんしな。」
今住んでるところは、実弥が大学の先輩から紹介してもらったところで、なかなか条件が良かったので何ももめなかったけど…。
改めて二人で一から決めるとなると、意見の違いとか出てくるんだな。