第16章 憂い
皆で運転を交代しながら車で帰ってきた。私はまず実家にお土産を渡したかったので、実家の近くのコンビニまで送ってもらった。
「本当にいいの?マンションまで付き合うわよ?」
「いいんです。バスでもいける距離ですから。」
「そう…。」
私はにっこり笑った。
「久しぶりにめちゃくちゃ楽しかったです!ありがとうございました!」
そして深々とお礼を言うと、最後にと言わんばかりに須磨さんに抱き締められた。
そうして三人とわかれた後、私は実家へ向かった。
……帰るの…半年ぶりとかかな。
しばらく気まずい時期もあったけど、おじいちゃんとおばあちゃんとはとっても仲良し。
実弥との同棲は言ってある。なので彼のこともしょっちゅう相談してる。
もちろん、あの夜のことも。
実弥とのことではすごく心配をかけているから、ちゃんと話し合って解決しないと。
そう意気込んでいると、後ろから声がした。
「姉ちゃん!!」
「玄弥くん」
走ってきたのか肩で息をしている。
実弥の弟の玄弥くんだ。
小さかった彼も大きくなって、もう高校生。不死川家は兄弟が増えて大人数になった。…けど。
おじさんが交通事故で亡くなってしまった。その時の事故で玄弥くんもたくさん、きえない傷がついてしまった。そのため実弥は家にもお金をいれている。
同棲にお金をかけている場合ではないはずなのに、私のことを考えてくれている。費用は折半だけれど、私が多くても良いと言ったのにきかなかった。
どうにかしてやりくりしているらしい。よほどのことがない限り余計なお金は使わない。
……この前のワンピースとか、お菓子とか全部無理してくれたんだろうな。