第15章 寂しさ
泣きつかれた須磨さんが私に抱きついたまま寝てしまって、まきをさんも布団を一つ離れたところで寝ていた。
隣で寝ていた雛鶴さんだけが起きていた。
「…私達は、もう子供はいらないってことで納得しているの」
突然、話してくれた。
「天元様は最初、私達に申し訳ない、現世でも一緒にいなくても良いって言ってくれた。けど、私たちはそれを聞かなかった。四人一緒じゃないと意味がないって。」
「………。」
「本音を言うと、子供、欲しいけどね。」
少し切なさや悲しさが入り交じった感情。それが彼女の本心だろう。
「それが須磨でもまきをでも、私はいいの。子供がいたら皆でお世話するもの。でも、結婚は一人としかできないし…私達、そんなことはできないからって、話し合って納得してるの。」
けれど、それを覆い隠すほどの、今の幸せがある…彼女から感じられる感情は、そんな気配があった。
「私達には子供と言う選択肢はない。けど、ちゃんは、ある。」
「……でも、その選択肢は…」
「そうね。限りなくない、に等しいのね。……でも私達とは違う。私達は子供を産むことができる。けど、それは天元様の子供ではない…その時点で私達は諦められるの。」
「私は…きっと、誰の子供も授かることはない…。」
「……でも…だからって、不死川くんと離れたくはないんでしょ?」
雛鶴さんに言われて、ハッとした。
「……不死川くんとわかれようとしたのに、一緒にいるんだもの。」
「…『出ていかないでくれ』…って、実弥が…言い過ぎたって、ごめんって言って、『結婚なんて二度と言わないから』…って。…結婚、したくないわけではないんですけどね。」
雛鶴さんがクスリと笑った。
「やっと聞けたわ。それがちゃんの本心なのね。」
彼女は優しく言った。
私は暗闇のなか、よわよわしく返事をした。