第15章 寂しさ
三人が絶句する。
私は続けた。
「高校生の時でした。女の子の日の、体の調子があまりにもおかしくて、祖母と病院に行ったんです。その時に、わかりました。断るときにちゃんとその話もしたんです。それでも実弥は構わないからって…私に考えてほしいからって、指輪を渡したまま時間をくれたんです。」
お腹があまりにも痛くなりすぎたり、具合が悪くなって寝込んでしまったり。
その時にした検査から、私はそもそも妊娠が難しいこと、そして妊娠してもちゃんと子供を産むことが難しいとわかった。
「実弥とは…その、あまり、…えと、そういったことは……してないんですけど、…」
「そういったこと?」
「察しなさい、バカ」
まきをさんが須磨さんをこずく。痛い、と涙目になった。すみません、恥ずかしいのではっきりは言いません…!!
「…その…それを打ち明けてから、実弥が意地になったことが何回もあったんですけど、……ダメ、でした。」
「ああそう…」
「す、すみません、気まずいですよね、こんな話…。」
「いや、全然そんなことないから。」
「そうそう。“こんな”話とか言わないで良いって。」
「大丈夫だからね!!」
三人の優しさが嬉しくて、私はぎゅッとお腹を抑えた。
「…それで、実弥に内緒で私もう一度検査を受けたんです。高校の時の診断結果だから、変わってるかもしれないって。でも…やっぱり変わってなかったんです。その時に診断書も書いてもらいました。」
その診断書を持って、私は。
「ある夜に、実弥に診断書を見せました。指輪も返そうと思って、用意してました。コーヒー飲みながら、ゆっくり話そうって思ってたんです。……あんなことになるなんて、思ってなかったから。」
あんな紙きれで、人の心が動かせたら、どれだけ良かったか。
私は、大馬鹿者だった。