第13章 憩い
十分ほどで、すぐに三人がきた。
「わー!!いた!!いましたよう、不死川くん!!」
須磨さんがスマホを耳に当てながら私に手を振る。
「もう、心配したわよ。急にいなくなるんだから。」
「大丈夫?何ともなかった?」
「はい、この通り…。すみません、スマホ忘れたみたいで…。」
私が二人に謝っていると、須磨さんがポンポンと肩を叩いた。
「不死川くんが変わって欲しいって。」
「あ、はい、ありがとうございます。」
スマホを受け取り、耳に当てる。
『もしもし?』
「はい?」
『…旅行、楽しいか』
怒られるかと思えば、そんなことを聞いてきた。
「楽しいよ。めちゃくちゃな料理作らなくていいし、朝ごはんは焼いただけのパンじゃないし。そのくせ無駄に美味しいコーヒーも出てこないし。」
『ハッ、帰ってからいくらでもやってろ。とりあえず楽しんでこいよ。』
「はーい。」
電話を切って、須磨さんにスマホを返した。
「じゃあ、そろそろここから出て甘いものでも食べましょうか?」
「わあ!何がいいですかね!」
「ちょっと待ってね、美味しいの探すから!」
スマホがないと、こういうときに不便だな。
ああいう便利なものって、本当に忘れたりしたら何もできなくなる。