第13章 憩い
私は迷子になりやすい。
第六感は便利ではない。人が多いと特定の誰がどこにいるのかを見つけるのが難しい。
後先考えず景色だけ見てぶらぶらしているのが原因ではないと思いたい。
いや〜困った困った。グループで連絡を取ろうとしたんだけど、スマホが見当たらない。ホテルの部屋に置いてきた?ん??
はっはっは、もうこうなっては笑うしかない。よし、あの方法で行こう。
「すみません」
私は一番そばにいた、絶景を一眼レフで捉えている若い男性に声をかけた。
「あの、三人組の女子グループを見ませんでしたか?」
とりあえず聞いていくしかない…!!!
豊な自然に囲まれた神社は、青々と茂った新緑が一度に見渡せて、地元の人や地域の人で賑わっていた。
だから、こんなところに迷子がいたっていいじゃないか。齢25歳の迷子がいたって…。
「人が多いから、見失ってしまいますよねえ…」
「はい…はい、それはもう」
いや恥ずかしいわ。とっても。
話しかけた男性はとっても親切で、あの三人は見ていないが公衆電話のあるところまで連れて行ってくれるという。
「ここへは旅行ですか?」
「はい。」
「そうですか。僕は写真家でして、よく来るんですよ。」
「へえ、写真家!それでそんなに立派なカメラを持っているんですね?」
「はい、まだまだですが。」
話も弾んだところで、公衆電話にたどり着いた。今時少なくなっちゃって、便利になったんだかなってないんだか。
「ありがとうございました。」
「はい、お気をつけて。」
お礼を言って別れ、電話ボックスに入る。しかし、当然ながらあの三人の携帯番号なんて知るはずもない。
私は、電話番号を覚えている中で唯一頼りになる人物に電話をかけた。