• テキストサイズ

キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第77章 名前を探して


「だからもう大丈夫なんだって。全部終わったって言ってるよ。」


木谷さんが続けた。

…俺?後ろに、俺がいるのか?


木谷さんの言葉は相変わらず意味がわからず、俺は何も反応することができなかった。


「昨日、僕は夢を見た。」

「夢…」

「が出てきた。君は見なかった?」

「!」


そう言われて、俺はハッとした。

そうだ。昨日、俺は…薄気味悪い闇の中、確かに…。
目の前にいた。手を伸ばせば届く距離。触れることは叶わなかったけど…。


「アイツは見つけたんだ。帰り道を。」

「…はただ、泣いてて…俺の声なんて聞こえていなかった。どこか遠いところにいた。わかってるんです、俺は…。」

「ううん、見つけたんだよ。」


木谷さんはざっと石畳の参道に足を踏みつけた。そして、テクテクと呑気に歩き始めた。


「………届いていたよ。大丈夫。」

「…何で、あんたが夢を見てるんだ、何で。」

「分からない?ここが始まりの場所だからだよ。」

「…?」

「鬼殺隊の始まりは、ここなんだよ。偉大な神社の当主が産屋敷に鬼の討伐を言い伝えたここが。この場所こそが。」


木谷さんは歩き続ける。胡蝶が先にその背中を追いかけたので、俺も慌てて足を動かした。


「鬼殺隊が解散した後、僕らの呼吸は舞いとして受け継がれた。シンダガワくんは知っていると思うけど。」

「…!何であんたがそのことを…死んだはずじゃ…!!」

「死んださ。他の誰でもない自分自身の手で自分を殺した。」


木谷さんは後ろを振り返ることもなく歩き続ける。


「木谷家はお役目を背負う一族だ。先祖代々悪祓いをしてきた。悪しき者を祓い続ける。この目が彼らをとらえる限り。」


まるで独り言のようにぶつぶつと話し続ける。俺たちは得体の知れない恐怖心に襲われながら、それを振り払うように歩を進めた。
/ 539ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp