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キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第74章 さらば雨雲


「だって、理由がわからないとどうしようもなくない?」


的を得た意見ではあるが…今そんな正論を叩きつけるのはどうかと思った。


「じゃあお前はその理由をどうやって理解するんだ。」

「霞守様に聞く。」

「答えると思うか?誰もいない場所で死のうとしたやつだぞ。」

「答えるよ。だって答える義務があるもん。こんなに大騒ぎにしてさ。阿国も傷ついてるし。」


……。

正論だな。正論だが、それは違う。


「それじゃあ、霞守はわるもんだな。」

「そうじゃないけど。」

「お前が言ってんのはそう言うことだぜ、時透。」

「そんなこと言ってないです。」

「……そう聞こえるってことだ。」


俺はため息をついた。


「あのなあ、お前がそう言うつもりじゃなくても聞く側がどう感じるかで決まるんだぞ。」

「……。」


自覚はあるらしく、時透は黙った。


「…でも、無一郎くんの言う通りかもしれません。理由がちゃんとないと、止めるの難しい…ですよね。」

「……お前は知らないのか。」


阿国は一瞬、誰も気づかないくらいさりげなく時透に目線を飛ばした。
……こいついると話せないか。


「おい、時透。」

「はい?」

「お前帰んなくていいのか。親御さん心配すんだろ。」

「う…」


顔をしかめる。
中学生が出歩くには男子とは言え遅すぎる時間だ。


「阿国はバレないからいいかもしれねえが、お前はダメだ。」

「帰れってこと?」

「そう言ってる。」

「じゃあ阿国も。」


そう言って阿国のセーラー服を掴む。


「……私は、まだ話したいことあるから。」

「時透。」


察しろ。


俺は目で訴えた。
時透はぐっと何かをこらえるように拳を握りしめ、やがて諦めた。


「帰ります」


大人しくそう言うので、頭の上に手を置いた。


「阿国、こいつ車で送ってくるわ。一人で待つの平気か?」

「はい、大丈夫です。」


その返事を聞いて、俺は時透を連れて部屋から出た。
ちゃんと鍵を閉めて俺たちをその場を去った。
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