第72章 たそがれの
俺は運転する間悩みに悩んだ。
が、どうも一人で処理できることではなかったので胡蝶の家の前で俺は阿国に言われたことを話した。
「そんなことがあったの!?」
案の定、胡蝶は驚いていた。
「あァ、霞守が何かに悩んでるのは知ってるんだが…とそれがなんの関係があるかはわかんねえ。」
「………そうね。わからないわね。でも、はっきりしてるのは水曜日に霞守くんを部活に行かせちゃダメってことよね。」
あっさりそう言う胡蝶に、俺は驚きを隠せなかった。
「お前、信じるのかよ!?」
「え?嘘なの?」
「いや、マジだけどよ…。普通信じねえだろ。」
「普通?嫌なこと言わないでよ。」
胡蝶が怒気を含む声で言った。
「友達でしょう!私も、も、あなたも!」
俺は何も言い返せずにただうなずいた。
「記憶の遺伝っていうのも、とにかく全部意味がわからないけど、唯一何とかなりそうなのは霞守くんを部室に行かせないことよ。のためならちゃんとやりなさい。いつまでも情けない顔をするのはやめてちょうだい。」
胡蝶はピシャリと言い切った。
何でこんなに口が厳しいんだコイツは。
「霞守くんとに注意して、これからも気を張りましょう。」
「おう。」
とりあえず首を縦に振るしかなかった。
「それじゃあ。今週から水曜日は霞守くんに気をつけるわ。」
「…悪い。頼む。」
だがここまでくると頼もしい味方だ。話したのは正解だった。