第71章 青色二つ
会いたい人に会いたい気持ちはわかるが、感動の再会ははお互いが望むから感動になるだけだ。
は望んでいない。
親密なようで微妙だなんて悲鳴嶼さんはうまく言ったもんだ。
週末になってようやく会いに来ることができた。霧雨の人たちに許可を得て胡蝶もついてきた。最近じいさんとばあさんに会っていないが、俺に気をつかってくれているようで病院では滅多に会わない。
一応恋人であるという俺への認識はしてくれていて、結婚を視野に入れていることもわかっているらしい。どうも孫と同じで不思議な力があるということだが、よりはるかに弱いらしい。
どうやら一族全員、なんかあるらしいが俺にはわからねェ。
「大きな病院ね。」
胡蝶が俺の車の中から病院を見て言う。別々に来ることもないので俺の運転できたが、最近流行の俳優だのファッションだのについて語るから退屈はしなかった。
はこう言った話を一切しないからなかなか新鮮だった。アイツはただどうでも良いやかましい話をすることが多い。
それが心地いいのかもしれない。胡蝶みたいにいつも違う話を聞くより、もう聞き飽きたような話の方が落ち着く。俺もどうでもいい話ができるし、誰に言うでもないくだらない話もちゃんと聞いてくれるから、何でも話せる。
車から降りる。胡蝶は綺麗な花を手にしていた。見舞いの品まで用意してくれたらしい。そのまま病院に入り、の病院に行く途中で胡蝶が足を止めた。
「あら?霞守くん…?」
その先には、病室から出てくる霞守がいた。
俺たちに気づいたのか、はたまたあの不思議な力で予知していたのかは知らないがこちらに顔を向けた。
少し顔色が悪い。その後ろから、男と女が出てきた。年齢から見ても恐らく両親だろう。
「こんにちは。」
何も知らない胡蝶はズンズン先に進んで三人ににこやかに挨拶をした。