第69章 たかだか人間
いったいなんだろうか。俺はその包みを開けてみた。
「……?」
そこに入っていたのはお守りだった。
「?何でこんなもの寄越しやがる」
「…家が神社だからかな。あ、でも霞守に姉ちゃんのこと話したんでしょ?言ってたよ。」
「…話したっつうか、俺が神社に参ってたのが見つかっただけだ。」
お守りには文字が刺繍されていた。
『霞守神社 無病息災』
そして、包の裏に汚い殴り書きのようなアイツの文字があった。
『妹からです。』
…妹って……。
「霞守って言えば一個驚いたことがあったんだけどよ。霞守の妹、この前学校の見学に来てたんだ。」
「へえ、あの神社娘さんもいたの。男の子の話はよく聞くんだけどねえ。」
俺が呆然としている間にも、二人は話し続けていた。
「体が弱くて入院続きなんだって。見学の時もずっと霞守が付き添ってて辛そうだったよ。」
「まあ…。」
「部活見学の時に射撃部に来てくれてさ、高校はちゃんと通いたいって話してた。可愛い子だったんだけど…。初めて見た時俺びっくりしたんだよ。」
俺はそこでハッとした。
「あの、にそっくりの子か。」
「えっ、兄貴知ってたの!?」
玄弥が驚く。俺はお守りを包みに戻しながらうなずいた。
「この前の見舞いした時に会った。病院が一緒なんだとよ。」
「ええ!?ウッソ、そんなことある!?」
「…そんなにちゃんに似てるの?」
「似てるって言うか、もう双子みたいなんだよ!!中学の時の姉ちゃんに瓜二つ!!」
玄弥が興奮気味に言う。
「もう姉ちゃんが若返ったのかと思ったよ。」
「俺もありゃビビったなあ。」
「へえ…そんな子もいるのねえ。」
があの子を見たらどんな反応をするだろうか。他人の俺たちでさえあんなに驚きのだから、アイツは叫び散らして飛び上がるだろうな。