第66章 眠らざる者たち
その日、遅れてのじいさんとばあさんが来た。
「実弥くん、もういいから。」
そう言われた。
「……それは」
俺は言葉がうまく出なかった。
「先生が言ってたでしょう…?目が覚めるかもわからない、目が覚めても何か傷害が残るかもしれないって。…一回心臓が止まっているから……。」
その話は俺も聞いた。
嫌な汗が背中を流れていく。
「実弥くんがこの子を大切にしてくれているのはわかる。嬉しくもある。けれど、君を見ていると申し訳ないんだ。まだ若いし、以外にも…。」
「まってください」
慌てて口を挟んだ。けれど頭がまとまっていなくて、少し間が空いた。
やっぱり、優しい人たちだ。こんな時まで俺のことを考えてくれてるなんてな。
「俺はがどうなろうと、離れるつもりはありません。」
二人が何か言う前に続けた。
「お願いします、の側にいさせてください。」
頭を下げて懇願した。
すると、二人とも慌てて俺に頭を上げるように言った。
「実弥くん…ありがとう、嬉しいのよ、嬉しいけど…うう、ごめんねえ、ありがとうねえ……。」
「変なこと言って悪かったね。」
「…いや、いいんです。お二人も不安でしょう。」
俺はほっとしてに視線を落とした。
相変わらずニコニコと微笑んでいて、今すぐにでも起きて冗談の一つでも言い始めそうだ。