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キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第62章 大正“幕引”ー終ー


二人とも、動かなかった。もう動けないのかもしれない。

その時、私は陸から気配を感じた。


「師範!!」


振り返ると、顔と体に少し擦り傷をつけたの無一郎くんが走って船に向かってきていた。


「宇髄くん」

「…わかってますよ」


何も言わずに察してくれた。

宇髄くんは船から降りて、無一郎くんのもとへ向かってくれた。


「…誰?」

「俺は音柱、宇髄天元だ。お前ちょっとこっち来い。」

「え?」


宇髄くんが無一郎くんを遠ざけようとしてくれている。
見れば、有無を言わさず肩に担いでいた。

「師範は?」

「ちゃんと来るわ。心配すんな。餓鬼はもう寝ろ、俺様が地味に子守唄でも歌ってやらあ。」

「師範…!!」

「暴れんな、お前怪我してんだろうが。」


そんなやりとりが聞こえて、すぐ静かになった。気配も遠ざかる。

無一郎くんが戻ってきたと言うことは、鬼の頚が切れたのだろう。ならば、この二人は、もう。


「安城殿、桜くん。」


私は震える手で刀を握り締めた。斬らなくてはならない。やらなくてはならない。


「私、皆と一緒にいた頃は、何もわかりませんでした。」


二人とも、聞こえているのだろうか。


「前は、わからなかったです。でも、今の私はわかるのです。皆が、教えてくれたのです。」


私は刀を振り上げた。


「教えてくださったことは、後世に繋ぎます。」


息を吸い込む。


「ありがとう。」


たとえ、骨だとしても。仮初に蘇ったガラクタの命だとしても。

私は感謝を伝えた。すると、ついに二人からの反応はなかった。


二人を斬った。

すると、二人の体はハラハラと崩れて海風に流れていった。

ゴロゴロと、足元に骨だけが転がる。


私は刀を船の床に突き刺し、それに持たれるように座り込んだ。


「…ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい」


刀の傷が刻み込まれ、古びて劣化した骨が私の足元に散らばっていた。

私はそれにひたすら謝った。


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