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キメツ学園ー未来編【鬼滅の刃】

第60章 大正“幕引”ー始ー


私がおずおずと伸ばされた手に触れると、無一郎くんはぎゅっとつかんできた。

表情に変化はない。ただ、無一郎くんが安心したのが気配でわかった。


「…あ、あ…えと…」


私はおろおろと無一郎くんが大丈夫か確認しようとしたが、やはりよくわからずしのぶに視線を投げた。


「………っふふ」


しかし、なぜかしのぶは吹き出した。


「大丈夫ですよ、霧雨さん。落ち着いて。」


しのぶはそっとしゃがんで、無一郎くんに手を伸ばした。


「霧雨さんは君を置いていったりしませんよ。しっかり怪我が治れば、きっと連れ帰ってくれますから。」

「……ッ!」


無一郎くんがぎゅっとまた私の手を握る。
まるで、離さないとでも言うように。


「あの…私どうすれば」

「帰るのは時透くんを落ち着かせてからですね。あと、霧雨さん自身も落ち着いてくださいね。」


しのぶに言われて、私は数回深呼吸をしてようやく落ち着いた。


「無一郎くん、私もしばらくはここに通いますから、君の顔を見に来ます。だから…。」


私は無一郎くんの目を見た。

けれど、その青さは気が引けるほどで。


「……だから…信じて、待っていて…くれますか?」


私は目を見ず、視線をそらしながら尋ねた。無一郎くんはするりと私の手を離した。

床を這っていた体制から、すっと体を起こして、ちょこんと座った。


「待ちます」


無一郎くんはまっすぐにそう答えた。


「よろしい」


私はすっと寝台を指さした。

無一郎くんは察したのかのそのそと戻ってそこに寝転んだ。


「霧雨さんも、子供の相手は苦手なんですね?」


こそっとしのぶが耳打ちしてきた。


「………私なんて得意なことの方が少ないですよ」


ちょっと恥ずかしくて、縮こまってそう言った。
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