第55章 大正“浪漫”ー漆ー
『お館様
私は少々怠慢を重ねすぎたのかもしれません。やらねばならぬことを思い出しました。あなたの元から離れます。ですが鬼狩りは続けて参ります。
そして。時透無一郎ですが私の屋敷を抜け出し無断で最終選別へと向かいました。よって継子の解任を致しますことをご報告申し上げます。
それでは、ありがとうございました。
霧雨』
生前、束の間の自由を手に入れた私は、のらりくらりと歩き回った………。
ということは記憶にある。
けれど、それはただ帰る屋敷もなくなってブラブラしてただけで、あんな手紙書いた覚えもないので前世とは違うことをしているのだろう。
とりあえず今の私は氷雨くんに会うという目的を果たさねばならない。