第49章 大正“浪漫”
会議が終わり、もうさっさと帰ろうと思った。
が。
問題はここからだ。
「、残れるかな。話があるんだ。」
……来た。
これで私は継子を連れ帰ることになる。
「申し訳ありません。帰ります。」
「何かあるのかな。」
「た、大切な用がありまして…。」
「何だい、それは。珍しいね。」
確かに。いつも用事とかそんなことなかったしな。
「あのぅ、その……。ガ、ガラスが!」
「は、俺?」
「ね!そうだよね!?」
「あ?あー…」
ガラスはしばらく悩んだあと、もうどうでもいいやと言わんばかりに言った。
「そうだ!!」
「そう!!そうなんですお館様!!」
「……どうなんだい?」
私たちの間に冷たい風が吹いた。
「……霧雨さん、何を言ってるんだ?」
周りの柱たちの視線も冷たかった。
やっとあの場からどうにかこうにか逃げ出すことができて、墓の前に座り込んだ。今日も優鈴のところに来た。
「………もう戻りたい」
膝を抱えて顔をうずめてぎゅっと小さくなった。
「戻るってどこにだ」
頭の上に乗るガラスが言う。
「どこに行く場所があるんだ」
私は答えなかった。
もしかしたら、今が現実で、あの幸せな日々が夢だったのではないかと錯覚してしまう。
それくらい、この世界は懐かしくて、驚くほど私を受け入れる。
「なあ、風柱が死んだ時もこんなにはならなかったじゃないか。何を今更沈んでいるんだ。」
「………。」
私は空を見上げた。
たった一人の同期だった優鈴に特別思い入れがあるのは確かだ。
彼が眠るこの墓が、今の私には一番居心地が良かったのだ。深い理由もないけれど、私は夜までそこに座っていた。