第49章 大正“浪漫”
「………霧雨、さん…」
聞き覚えのある声がして周囲を見渡す。あ、懐かしい気配。
そこにいたのはかつての柱たち。声を出したのは宇髄先輩…じゃなくて、宇髄くん。気配からして驚きや戸惑いが入り交じっている。
「あ」
やばい。素でいっちゃった。あれ、前世の私どんなんだっけ。えーと敬語で、ニコニコ笑って…。
上手くできない。えっ。どうしたらいいの?
「………失礼しました~…」
私はちょこちょこと動いて一番隅に移動した。
今日の会議は庭らしい。縁側にお館様が立っている。
「今日は来てくれたんだね、」
「行きたくないって布団で暴れてたけどな」
「ガラスくん後で高いエサあげるから黙ってて」
ガラスは私の頭の上に遠慮なく足を乗せて止まった。
「上から来るのは久しぶりだ。小さい頃はよくしていたよね。でも怪我をしてしまうから、もうやめようね。」
「はい。」
そうですね。現在進行形で打ち付けた腰が痛いです。
ていうか小さい頃って言っても、15歳とかじゃない?ごめんなさいお転婆で。
「昨日は何かあったのかい?連絡がないから心配していたんだよ。」
わあ本気で心配してる。めちゃめちゃ伝わってくる。第六感すごい仕事してる。
「………ひ…」
「ひ?」
「秘密です……ッ!!!」
大した言い訳が思い付かなかったのでとっさにそう言った。周りの柱がぎょっとして私に顔を向ける。お館様も、その側に控えるお嬢様たちもキョトンとしていた。
「秘密、かい?」
「いや風柱の墓の前で黄昏て「秘密です」」
「…今ガラスが」
「幻聴です」
周りの皆がキョトンとしていた。お館様もキョトンとしていた。