第49章 大正“浪漫”
お風呂も調理も洗濯も、全てが違う。
スイッチ一つ押せば良いあの時代の便利さを痛感した。
「……無理ぃ…」
私は倒れるように布団に飛び込んだ。
もう太陽ははるか上に登っていた。
「おい、昼前には起きろよ。今日こそ会議に顔を出せ。」
「えっ。昨日でしょ、それは。」
「昨日の会議は中止になった。」
「何で?」
「お前がいないからだ馬鹿者。全員揃わないと会議にならん。風柱が死んだときみたく嘘でも体調不良など理由をつけて休めば良いが、昨日のお前は完全な無断欠席だ。やってはいけないことをしたんだから当たり前だな。」
はいとてもごめんなさい。
けど、まあきっと眠れば元にもどって……
ないですねーーーーーーーーーーーーー。
はい、大正時代にステイということで。
「行くぞ、柱合会議」
「グゥ」
「おい起きろ!!アホ!!」
私はうだうだしてなかなか起きず、結果として今本気で走っている。
間に合わないのは確定だ。
「あーもー!車ほし~自転車ぁ~!!」
「クルマ?ワケわかんないこと言わないで走れ。」
そうこうしつつ、私は屋敷の前にたどり着いた。
門に入るのは遠回りので、ずっと使っている近道を通った。
屋敷を囲む藤の木に飛び乗り、塀を踏み台に屋根に飛び乗る。
「すみませ~ん遅れましたぁ!!」
私は勢いのまま屋根から飛び降りた。ガラスは慣れているので私についてくる。
「あれ、こんなに高かったっけ!!」
しかし予想外の落下距離に、私はみっともなくべちゃっと地面に叩きつけられた。
「………お前、本当に昨日から何やってんだ…?」
「うるさいなぁ、人間は失敗するんだよ。烏のガラスにはわかんないかもしんないけど。」
私はむくりと起き上がり、からだについた土や埃をはらった。