第48章 空模様
次の日、私は全く食事ができなくなった。そもそも起き上がることが難しく、座って箸を持てない。それに、一人で歩くのもできず看護士さんに肩を貸してもらってトイレなどの移動する。お風呂だってそうだ。
どんどん体が弱っていく。それでも原因がわからない。普通は手術をしたり色んな治療があるんだろうけど、体が健康そのものの私は何もできない…らしい。
午前中はおじいちゃんとおばあちゃんが来てくれて、午後は優鈴が来た。
「…弱ってんね。」
「よわってるねぇー……。」
優鈴は口を曲げて、眉を下げた。
「負けないんだよ。」
「…負けないよ。」
「約束だよ。」
そう言って小指を出してくるので、子供みたいだなあと思いながら小指を出した。
「ゆびきりげんまん」
優鈴はしゅん、としたまま言った。
「守ってくれたら、美味しいお菓子ご馳走したげる。」
「じゃ、守んなきゃ。」
「うん。」
そんな悲しそうな顔をされると、不安になる。
優鈴が帰った後は、もう誰もこなかった。
やっぱり、実弥は来なかった。